NCタ−レットパンチプレス機による抜き加工において、金型寿命は生産性・コストに大きな影響を与え
 ます。この章はこの金型寿命対策として、 「ス−パ−ドライパンチ」をはじめとするいくつかの対策を
 まとめました。

 スーパードライパンチ

 ス−パ−ドライパンチは、
 プレス加工油を使用しない[ドライ加工]に対応。ステンレス等の難加工材に抜群の効果を発揮します。

 ス−パ−ドライパンチは、
 表面の「超硬質被膜(Hv2,500〜3,000)」とパンチ母材への「浸透層」とのW効果で優れた耐久性
 を実現。TiN(黄金色)やTiCN(灰紫色)といった従来のコ−ティングパンチでステンレスを加工した場
 合発生する「被膜が剥がれる」欠点を解消しました。

従来のコ−ティング

従来のコ−ティングの被膜層

ス−パ−ドライパンチ

ス−パ−ドライパンチの被膜層

 ス−パ−ドライパンチは、
 従来のどんなコ−ティングパンチよりも耐久性試験では
 長寿命を実現しました。
 また、オイル潤滑パンチよりも好結果が出ています。
 その「常識外」の耐久性をご確認下さい。(図1)
ス−パ−ドライパンチの寿命比較
 コーティング処理について

タフコ−ト       厳選されたハイス鋼に塩浴窒化処理(表面硬さHv900〜1,100)を行います。
万能タイプです。浸透タイプ(深さ〜50μ)のため、被膜の剥離が生じにくい。
TiNコ−ティング 厳選されたハイス鋼にTiN処理(表面硬さHv2,000〜2,500)を行います。
SPCC材の加工に効果があります。 コ−ティング層2〜3μ。
CrNコ−ティング  厳選されたハイス鋼にCrN処理(表面硬さHv1,700〜2,100)を行います。
アルミニュウム材の加工に効果が高い。 コ−ティング層2〜3μ。
 追抜き(ニブリング)加工時の寿命対策

 ヒ−ル付金型
 刃先に固定ヒ−ル部を設け、パンチがワ−クに当たる前にヒ−ル部が
 ダイの中に入り、抜き時のパンチのズレを防止した金型。
 (図2)(追い抜き方向に制限があります。)

 この他にも刃先に可動ヒ−ル部を設け追い抜き方向の制限を少なくし
 たシャ−プル−フ金型もあります。

(図2)ヒ−ル付金型
ヒ−ル付金型
 小口径パンチの寿命対策

 有効刃先長さを短くし刃先の強度を増し、折れ難くした
 ナロ−タイプ・オ−プンエンド方式・超ナロ−タイプ
 
等のパンチ仕様があります。

  標準   ナロ−タイプ    オ−プンエンド  超ナロ−タイプ
 パンチ刃先仕様図
 厚板加工には

 エキストラバックテ−パ−金型
 パンチ刃先にテ−パ−逃げを設け、ワ−クとの接触を減らし、焼付き
 を少なくした金型。(図3)

(図3)エキストラバックテ−パ−金型
エキストラバックテ−パ−
 その他の寿命対策

 1) タ−レットの芯ズレ、タ−レットキ−等の摩耗のチェック。
 2) カス上がり対策金型との併用。
 3) 早期の再研磨の実施。
 4) 刃先角部にRを付ける。

 金型の寿命対策は、ワ−クの材質・板厚等の加工条件に合った金型の選定を行う事をお勧めします。

10.金型寿命対策

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