NCタ−レットパンチプレス機による抜き加工時に発生するトラブルの1つに、 抜きカス上がりがあります。 カス上がりは、一般的に丸形状や単純形状で板厚が薄い場合に多く発生すると言われて
います。 この章はこのカス上がりについて、スラグキャッチャ−ダイをはじめ、いくつかの対策例をまとめました。
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カス上りのメカニズム |
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a) 真空による吸着 b) 油膜による吸着 c) 磁気による吸着 d) 抜きカスのカエリ等による刃先圧着
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カス上り防止対策 |
スラグキャッチャ−ダイ 抜きカスを確実にキャッチしてカス上がりを防止します。
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1.ワ−クがA部で 切断される。 |
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2.抜きカスがB部に 下がる過程で圧 縮される。 |
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3.B部より下がった 時に圧縮から 解放される。 |
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4.C部よりB部の方 が狭い為、抜き カスはB部より上 には上がらない。 |
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上型(パンチ側)の対策 |
1) パンチ全長変更による対策 抜きカスをダイの中に押し込む深さを増し、カス上がりを防止 します。 |
不十分な状態 良好な状態

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2) ウレタンキッカ−
パンチの刃先に装着された特殊ウレタンにより抜きカスを強制 的に落とします。(密着・吸着防止) |
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3) 圧縮エア−によるカス上がり防止 型センタ−のエア−穴から圧縮空気を直接抜きカスに吹きつけ 強制的に抜きカスを落とします。 |
圧縮空気

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4) シャ−角によるカス上がり防止 パンチの刃先にシャ−角を付けることにより抜きカスを変形させ、 その反発力(スプリングバック)を利用してカス上がりを防止します。 |
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下型(ダイ側)の対策 |
1) ダイ切刃の選定 切刃にはスラグキャッチャ−の他にもこの様な仕様が 有ります。 |
ストレ−ト切刃 ストレ−ト切刃 オ−ルテ−パ− テ−パ−逃がし ストレ−ト逃がし
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b) デポジトロン処理(D処理) ダイ切刃側面に超硬被膜を電気溶着し、抜きカスを 噛み込みます。 |
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その他の対策 |
1) 加工油を使用しない。 2) 適正なクリアランスで金型を使用する。 3) 脱磁を十分に行う。
被加工材(ワ−ク)の材質・板厚・抜き形状等によりこれらの方法を、単独又は組み合わせてお試し 頂く事をおすすめ致します。
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