金型のメンテナンスは加工品の品質や金型寿命に大きな影響を与えます。
 この章は適切なメンテナンスの時期・方法等についてまとめました。

 抜き金型の再研磨

 再研磨の時期
 
打抜き加工の場合、金型と材料が繰り返し接触するため、ヒット数が増えるにつれ金型の摩耗が
 進行し抜き面にいろいろな現象が表れます。
 1) 打抜き面のダレが大きくなる。
 2) カエリが大きくなる。
 3) せん断面の面精度の低下。
 4) 打抜き寸法精度の低下。
 5) 製品の反りの発生。
抜き面の図

 通常パンチ・ダイの再研磨時期はカエリ(抜きバリ)の大きさによって判断します。
 また、金型の刃先の状態(ダレ、欠け)の観察も定期的に行うことをお勧めします。

 刃先の摩耗が進行しますと、
  
1) ますます摩耗を早める。
  2) 加工品の品質の低下。
  3) 打抜き荷重の増加によるパンチ・ダイの破損。
 等の不具合につながります。

 適切な時期に再研磨を行い、製品の品質保持に努めることをお勧めします。 

 研削方法
 再研磨の時には常に冷却液を使用して下さい。乾式や不適当な冷却液を
 使って研削すると、切刃に割れや焼きなまり等が生じパンチ・ダイの破損の
 原因になります。
 再研磨後は、研磨カエリが生じますので#600程度のミガキ砥石にて研磨
 カエリを取り除き、冷却液を除去して、組込みの際には潤滑剤を塗る様に
 して下さい。
 また、研磨した寸法量、パンチヘッドやシムにてパンチ・ダイの長さを調整
 して下さい。

再研磨の図
平面研削盤による再研磨

 一般のメンテナンス


 刃先の溶着除去
 
刃先への溶着が激しい場合は、オイルスト−ン(#220程度)で
 溶着を除去して下さい。
 (溶着除去時には切刃部がダレない様、十分注意して下さい。)

 使用頻度の高い金型には、
 驚異の寿命の「ス−パ−ドライパンチ」をお勧めします。


オイルスト−ンによる溶着除去
平滑な砥石を刃先側面と平行に動かす

 
溶着除去

 摺動部の潤滑
 
パンチボディとガイド内径部等の摺動部は、定期的に清掃・潤滑剤(グリス・モリコ−ト等)の塗布を
 お勧めします。
 (ガイド内径部に付着した抜き加工時に発生する鉄粉等は、焼付きの原因となります。)

 キ−のメンテナンス
 
金型やタ−レットのキ−(キ−溝・キ−ピン)の摩耗は加工品の品質や金型の寿命に大きな影響を
 与えます。定期的に交換される事をお勧めします。(金型のキ−交換は弊社におまかせ下さい。)

 タ−レット内部の清掃
 
金型のメンテナンスを十分に行っていても、金型を装着するタ−レット自体に抜きバリ・抜きカス等
 の異物が入っている場合、金型の芯ズレ・カジリ等の原因になります。
 金型を装着する際にはタ−レット内部の清掃を十分に行ってください。
 使用していないタ−レットにはムクダイ等を装着すれば、異物の混入の防止になります。

 特型(成形用金型)のメンテナンス


 特型の再研磨
 
特型には、「切刃」の有る金型も多くあります。抜き型同様、再研磨が可能です。
 (製品によっては、再研磨によって成形形状が変わる場合もありますのでご相談下さい。)
 また、使用頻度の高い金型には「ハイス鋼金型」や刃先部のみ交換可能な「替刃式金型」
 も製作しております。

 ウレタンゴム・スプリングの交換
 
特型には金型内部にエジェクタ−用のウレタンゴム・スプリングが装着されているものがあります。
 ウレタンゴム・スプリングの力が劣化しますと、ストリップミスにつながり、金型破損の原因となり
 ますので早期の交換をお勧めします。

金型をより永くご使用頂くために、適切なメンテナンスを行う事をお勧めします。

3. 金型のメンテナンスについて

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