板材を打抜いた場合、一般的に抜きカスは湾曲します。 (図1 参照)
これは打抜き時にワークに剪断力と同時に曲げ力がかかり、 それによりワークが塑性変形するためです。 (図2 参照)
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図1 打抜き時の抜きカスの湾曲

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そこで、ブランク型の様に抜きカスが製品となる場合には 後工程でレベラーに通す等の手直しが必要となる場合が あります。
この対策としては、
1) 外周抜きを行う。 製品を打抜くのではなく製品の外周(輪郭)を打抜く方法で、 一般的にこの方法が採用されています。 この場合、製品はミクロジョイント等でつないでおき、加工 後に分離します。(図3
参照)
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図2 パンチの抜き力と応力

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2) クリアランスを小さくする。 クリアランスが大きくなる程ワークにかかる曲げ力が増し、 湾曲が大きくなります。 ブランク型の場合、適正クリアランスより少し小さめのクリ アランスをお勧めします。 但し、厚板の場合にクリアランスを小さくし過ぎますと金型 への負担が増し、金型の破損の原因にもなりますのでご 注意下さい。
3) 再研磨を早期に行う。 磨耗した切刃で打抜いた場合も曲げ力が増し、湾曲が より大きくなります。早期に再研磨を行いシャープな切刃 で打抜きを行って下さい。
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図3 ミクロジョイントされた製品

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4) ウレタンキッカーの出代を調整する。 ブランク型でもブランク製品が抜き落とされずに浮き上が る現象(いわゆるカス上り)を防止する目的として、刃先形 状や寸法によりパンチにウレタンキッカーをお付けしてい る場合があります。 それによりワークの材質・板厚によってはブランク製品に 反り等の変形が発生する場合が考えられます。 そのような場合は、ウレタンキッカーの出代調整又は ウレタンキッカーの除去を行って下さい。 (図4
参照)
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図4 ウレタンキッカーの出代調整

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5) 逆押えを付けた金型 金型に逆押えを付け背圧をかけながら抜き、ワークの湾曲 を矯正する方法です。(図5
参照) この工程で半抜きを行い、別の工程で抜き落とします。
6) 板押え力を強くする。 ステーションサイズをあげて板押え力を増すことにより、 ワークの曲げ力を押え込み変形を少なくする。
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図5 逆押えを付けた金型

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7) 製品内部に穴がある物(ワッシャー状の物)はより大きな 湾曲が発生します。また、製品の外周(輪郭)により近い ところに穴がある場合は外周と穴の間の部分にネジレが 生じる場合があります。(図6
参照) 穴抜きはタレパン以外の後工程で行うか、穴付近の輪郭 部を先に抜いておいて下さい。 |
図6 製品の外周付近に穴がある場合

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8) ブランク型にシャー角は付けない事。 シャー角付のパンチで打抜きを行うとシャー角によりブラ ンクが変形します。 パンチ端面(ワーク当たる面)は常にフラットに研磨して 下さい。
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